2016年5月4日水曜日

鳴らす阿呆へまっしぐら 〜大太鼓〜

こんにちは。三味線のちづるです。
鳴らす阿呆へまっしぐら』連載の第3回目。
なんだか前回の投稿からすごく時間がたってしまいました。
申し訳ありません(^ ^;)
連載といっても内容は独立してますので、安心してお読みくださいね♪


今日のお題


さてさて私の前回の連載では、『鉦』についてお話させていただきました。
今回のお題は『大太鼓』!

阿波おどりでもっとも目に止まる鳴り物ではないでしょうか?
そう。流し踊りの最後尾で迫力のある重低音を響かせているあの楽器です(^ ^)
この日は雨のためビニールを装着してますね

読んで字のごとく、大きい太鼓ですね!
大太鼓担当の鳴り物メンバーは皆さん体格がいいのであまり伝わらないかもしれませんが、私が大太鼓を持つと真っ直ぐ歩くのも難しいくらいです。

流し踊りでは「高張り→ちびっこ→女踊り→男踊り→鳴り物」という順番で流します。
鳴り物は「三味線→笛→鉦→締太鼓→大太鼓」という順番になってますので、大太鼓は本当に一番後ろから踊り全体を支えている重要な楽器です。


ちなみに、大太鼓は『おおど』とも呼ばれますが、『おおど』は『大胴(おおどう)』からきています。
大胴とはサイズの大きな和太鼓(長胴太鼓)のことですが、現在では大太鼓の通称として阿波おどりでも使われているようです。

ではそんな大太鼓、詳しく見ていきましょう。


材質


まずは大太鼓の材質から。

胴・・松、けやきなど
皮・・牛皮
鋲・・鉄
バチ・・桜、楓、樫、檜など

大太鼓は丸太をくり抜いて作られた胴に皮を張って鋲で留めれば完成です。
と、簡単に言ってしまいましたが、一つ一つの行程には大変手間と時間がかかり、完成品は芸術作品と言っていいくらい美しいです。
でも、上の画像のように長年使用し胴も皮も良い具合になじんでいるのもまた美しいですね。

もちろん、このように美しくなじんだ太鼓にするためには定期的なメンテナンスが必要になります。
皮の張り替えなどは専門の方にお願いしますが、小さなメンテナンスは自分たちでやります。

連名と皮フチ部分をしっかり保護しニスを塗ったり

命の次に大事な連名の塗料が剥離した箇所を塗り直したり

ヒビなどをパテで保護したり

手がかかる子ほど可愛いと言いますが、やはりこうやって自分でメンテナンスすることで、さらに自分の楽器への愛着が増すそうですよ。


サイズ


さて次は気になる大太鼓のサイズについて。
現在東京新のんき連にある大太鼓は、2尺7寸と2尺8寸の2サイズあります。
これはどういうことかというと、胴径(皮の部分の直径)が2尺で、胴の幅が7寸/8寸ということです。
あんまりピンときませんね。

では実際の大太鼓で比べてみましょう。



幅22〜25cm、高さ60cmということですね。
ちなみに大太鼓の重量は、7寸で約7kg、8寸で約10kgとなります。

大きさもさることながら、なかなかの重さ・・。
これを叩きながら歩くなんてすごいです。

叩き方・スタイル


ではでは、続いて大太鼓がどんなフレーズを叩いているのか説明してみます。

前回、東京新のんき連の鉦のリズムを書きましたが、その鉦のリズムにあわせて同じように大太鼓のフレーズも音符で書いてみましょう。
※ちょっと前回と書き方を変えています。
これが東京新のんき連の鉦と大太鼓のぞめきのフレーズです。

ふふ。
よくわかりませんよね(笑)
これを口で言うとしたら『ドットコトンコドンコドンコ』となるそうです。
・・余計わかりませんね(>▽<)


ちなみに連長コラムで、新のんきの『独特の連打』という表現をされていましたので、どのように独特なのか、阿波踊りでよく耳にする大太鼓のフレーズと比較してみましょう。

こちらが皆さんがよく耳にする大太鼓のフレーズです。
(もちろん東京新のんき連でもぞめき以外のお囃子ではこのフレーズも叩きます)
かなり違いますね(@o@)
口で言うとしたら『ンドンガドンドンコ』な感じでしょうか。
とても阿波踊りらしい、雰囲気のあるフレーズです。


連長がコラムの中でおっしゃってたように、新のんきの「独特の連打」で音を合わせるためには、大変な練習が必要なようでして、大太鼓チームは常に厳しい基礎練習をやっています。

そんな大太鼓チームの特徴は、鳴り物の中でもっとも「練習への出席率が高い」ということと、休憩時間でも大太鼓チームで固まっていて「みんな仲良し」ということでしょうか。
きっとまとまりのある音を響かせるために、常日頃から一緒にいるようにしているのでしょうね(笑)



観どころ・聴きどころ


では最後に、そんな大太鼓の観どころ・聴きどころは
「心躍る重低音」
大太鼓の素晴らしい所は耳だけではなく体全体で感じることができるという所です。
特に流し踊りでの大太鼓は胸(というか内臓?)に響き、否応なしに気分が高揚します。

そしてさらに、
「心揺さぶる静の音」
舞台踊りにおいて大太鼓は、流し踊りとは正反対の「静」と、激しく場面を盛り上げる「動」を使い分けることがとても重要になります。
大太鼓はもともとの音量が大きいだけに「静」を表現することは非常に難しいのですが、静かな大太鼓は鳴り物を支える根っこであり、お囃子に深みを与えてくれる存在なのです。

迫力のある重低音と大河のような静けさ、これが大太鼓の真骨頂だと私は思います。
舞台では是非、柔らかな大太鼓の音色も楽しんでくださいね♪



次回予告


では次回
鳴らす阿呆へまっしぐら -締太鼓-
締太鼓について書くのもかなりの苦戦が予想されますが(笑)、がんばりますのでのんびりお待ちください☆